正論大賞 受賞者の告知

 自由と民主主義のために闘う「正論路線」を発展させた言論活動に贈られる正論大賞に、文芸批評家の新保祐司氏(64)が決まった。また新進気鋭の言論人に贈られる正論新風賞には文芸評論家の小川榮太郎氏(50)と国際政治学者の三浦瑠麗氏(37)が選ばれた。

 正論大賞は今回が33回目。新保氏は音楽を文明・時代批評へと発展させる独自の評論で、伝統的価値観が喪失している現在の日本に警鐘を鳴らし、さらに戦後、上演が控えられてきた皇紀2600年の奉祝曲「海道東征」(北原白秋作詩、信時潔作曲)の復活公演に尽力したことが評価された。新保氏は第8回正論新風賞受賞者で、初の大賞・新風賞受賞者になった。

 新風賞は18回目。小川氏は国語の空虚化や文学の衰退など日本人の核となる精神の喪失が最も深刻な危機と訴える姿勢が、三浦氏は米大統領選で早くからトランプ氏勝利の可能性について検証するなど幅広い取材力と冷静な分析力が評価された。新風賞の2人受賞は初、さらに三浦氏の女性受賞も初めて。

 正論大賞の正賞はブロンズ彫刻「飛翔」(御正進(みしょう・すすむ)氏制作)で副賞は賞金100万円、新風賞の正賞は同「ソナチネ」(小堤良一(おづつみ・りょういち)氏制作)で副賞は賞金50万円。贈呈式は来年2月19日、都内で行われる。

第33回正論大賞

正論大賞・新保祐司

新保祐司氏

 昭和28(1953)年、仙台市生まれ。都留文科大学教授。東京大学文学部仏文科卒業後、出光興産に入社。平成2(1990)年に、近代日本の矛盾と葛藤を体現した内村鑑三を批評した「内村鑑三」を上梓。同8(1996)年に退職後、本格的な執筆活動に入り、同年に都留文科大学助教授に就任、同10(1998)年から教授、国文学科長や副学長を歴任。その後、北原白秋作詩・信時潔作曲の交声曲「海道東征」の復活公演にも尽力。著作に「島木健作 義に飢ゑ渇く者」「文藝評論」「批評の測鉛」「日本思想史骨」「正統の垂直線 透谷・鑑三・近代」「国のさゝやき」「信時潔」「鈴二つ」「フリードリヒ 崇高のアリア」「シベリウスと宣長」「明治頌歌 言葉による交響曲」「『海道東征』への道」、編著に「『海ゆかば』の昭和」など。
 平成18(2006)年5月から、産経新聞「正論」欄執筆メンバー。第8回正論新風賞受賞。

第18回正論新風賞

第18回正論新風賞・小川榮太郎

小川榮太郎氏

 昭和42年、東京都生まれ。一般財団法人日本平和学研究所理事長。大阪大学文学部卒業、埼玉大学大学院修了、修士課程の指導教官は正論メンバーで哲学者・評論家の長谷川三千子氏。専門は近代日本文学、19世紀ドイツ音楽。著作に「約束の日 安倍晋三試論」「最後の勝機(チャンス) 救国政権の下で、日本国民は何を考え、どう戦うべきか」「保守の原点―『保守』が日本を救う」(共著)「一気に読める戦争の昭和史」「小林秀雄の後の二十一章」「天皇の平和 九条の平和―安倍時代の論点」など。

第18回正論新風賞・三浦瑠麗

三浦瑠麗氏

 昭和55年、神奈川県生まれ。東京大農学部卒業。東大公共政策大学院修了、東大大学院法学政治学研究科修了。日本学術振興会特別研究員などを経て、東大政策ビジョン研究センター講師。著作に「シビリアンの戦争―デモクラシーが攻撃的になるとき」「日本に絶望している人のための政治入門」「『トランプ時代』の新世界秩序」「戦略原論―軍事と平和のグランド・ストラテジー」(共著)「国家の矛盾」(同)「国民国家のリアリズム」(同)など。
 平成27年11月から、産経新聞「正論」欄執筆メンバー。