雑誌正論掲載論文
姑息! 朝日が英語で続ける慰安婦「強制」プロパガンダ
2016年04月15日 03:00
AJCN代表 山岡鉄舟 月刊正論5月号
今年2月16日、国連欧州本部(ジュネーブ)で開かれた女子差別撤廃委員会・対日審査会合での日本政府代表、杉山晋輔外務審議官の発言が注目を集めた。日本軍慰安婦の強制連行説や「性奴隷」などの虚構や不当なレッテルでどれだけ日本が貶められても、「日韓協定で解決ずみ」「謝罪している」などとお茶を濁してきた従来の政府・外務省の対応とは一線を画し、「強制連行は確認できていない」「性奴隷は事実ではない」と明確に歴史的事実に即して反論したからだ。
さらに同委員会で杉山審議官は、慰安婦の強制連行説が世界規模で広まったことについて、「慰安婦狩り」証言を行った吉田清治(故人)による「捏造」で、朝日新聞が吉田の書物の内容を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と説明したのだが、この発言がさらに波紋を呼んだ。朝日側が「根拠を示さない発言で遺憾」とする旨を同18日、東京本社報道局長名の文書で外務省に申し入れたのだ。
私はこの朝日の申し入れを報じるニュースに、開いた口が塞がらなかった。朝日がまさに、「国際社会に大きな影響を与える」ことだけを目的とした新たな慰安婦「強制」プロパガンダを、現在進行形で展開しているのを知っていたからである。
私は当時、昨年末の慰安婦日韓合意以降の朝日の日本語記事および英語記事の検証をするため、AJCN事務局長の協力で、慰安婦関連の記事十数本の日本語版と英語版を読み比べていた。その結果、日本軍慰安婦について説明する文章が、日本語版には一度も登場しないのに英語版には必ず挿入されていることが分かった。その内容は、判で押したようにほぼ同一だった。時系列で並べてみると、次のようになる。(《》は拙訳)
【2016年1月2日】comfort women, who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II
《第二次大戦前、および戦時中に、日本兵にセックスの供与を強制された慰安婦》
【同】comfort women, who were forced to provide sex to imperial Japanese military personnel before and during World War II.
《第二次大戦前、および戦時中に、帝国日本軍人にセックスの供与を強制された慰安婦》
【1月3日】comfort women, a euphemism for women who were forced to provide sex to Japanese troops before and during World War II
《第二次大戦前、および大戦中に、日本軍部隊にセックスの供与を強制された女性の婉曲表現である慰安婦》
【1月6日】Comfort women is euphemism for women who were forced to provide sex to Imperial Japanese troops before and during the war. Many of the women came from the Korean Peninsula.
《慰安婦とは、戦前および戦中に日本軍部隊にセックスの供与を強制された女性達の婉曲表現である。女性たちの多くは朝鮮半島からであった》
【同】such women who were forced to provide sex to wartime Japanese soldiers.
《戦時中の日本兵にセックスの供与を強制されたそれらの女性達》
【同】comfort women, who were forced to provide sex to wartime Japanese soldiers
《戦時中の日本兵にセックスの供与を強制された慰安婦》
【1月15日】“Comfort women” is a euphemism for women, including many Koreans, who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II.
《慰安婦は、第二次大戦前および大戦中に日本兵にセックスの供与を強制された、多くの韓国人を含む女性の婉曲表現である》
繰り返すが、これらのほぼ同一の慰安婦の「定義」文は、日本語版には全く現れず、英語版のみに挿入されている。これを読む英語話者は、間違いなく慰安婦は日本軍による強制的で組織的な蛮行の被害者という印象を持つだろう。そして、日本国民が気付かない間に、海外メディアを通して拡散されていく。これが現在進行中の朝日の戦略である。
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■ 山岡鉄秀氏 1965(昭和40)年東京都生まれ。中央大学、ニューサウスウエールズ大学大学院卒。2014年豪州ストラスフィールド市で、中韓反日団体が仕掛ける慰安婦像設置計画に遭遇するや、現地日系人とともにAustralia-Japan Community Network(AJCN)を結成して設置を阻止した。