イベント一覧

昨日の平成28年3月7日、第31回「正論大賞」(フジサンケイグループ主催)の贈呈式が東京都港区の東京プリンスホテルで行われました。大賞を受賞した米ヴァンダービルト 大名誉教授、ジェームス・E・アワー氏(74)にブロンズ彫刻「飛翔」(御正(みしょう)進(すすむ)氏制作)と副賞の100万円がフジサンケイグループ の日枝久代表から贈られました。

日米安全保障体制に関する現実的な論文を長年にわたって発表し続け、日米関係の強化を訴えてきたことなどが、大賞にふさわしいと評価されたアワー氏は「この誉れ高い賞をいただけたのは、これまで指導していただいた多くの日本人のおかげです」と喜びの言葉を語りました。

来賓として安倍晋三首相も駆けつけ、「アワーさんが産経新聞正論欄で、世界標準の安全保障の現実と常識を示していただけるのを、いつも楽しみにしている。 日米の絆を強化するために本当にご尽力いただいた。今こそ日米同盟を強化していかねばならず、今後ともご尽力いただきたい」とアワー氏をたたえました。

主催者を代表し熊坂隆光産経新聞社長が「言論人として、また人的交流を通じて日米同盟を支えてきた功績は大きい」と話しました。

首相「アワー氏に贈られた本で復活」

集団的自衛権、米国のオバマ政権や大統領選「トランプ現象」などで日米関係が改めてクローズアップされる中、米国人として初めて正論大賞を受賞した ジェームス・E・アワー氏。贈呈式の会場では、政界の要人や知識人ら約400人を前にして、日米関係の重要性を強調しました。

贈呈式の壇上に立ったアワー氏は「ほとんどの日本人も、日米同盟は日本のためになると考えるし、日米はともに発展する『ウィンウィン』の関係だ」と強調しました。

レーガン政権下などで国防総省安全保障局日本部長も務めたアワー氏。単なる心情的な日米友好ではなく、現実的な利害も踏まえた提言を続けてきました。贈呈式 には多くの日本人識者がお祝いに駆けつけ、乾杯の挨拶に立ったジャーナリストの櫻井よしこ氏は「アワーさんは、日本が国際社会で、自分の足できちんと 立てるようにアドバイスなさってくれた」と感謝の意を表しました。

安倍晋三首相は第1次政権で首相を辞任した2か月後に、自宅を訪れたアワー氏からチャーチル元英首相の著書『決して諦めるな』を贈られたエピソードを披露し、「この本の表題を見つめて諦めなかったおかげで3年前、(首相)に復活できた」と会場の笑いを誘いつつ、アワー氏の人柄を紹介しました。

40年前からアワー氏と交流してきた杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏はこの受賞が両国関係の根幹は微動だにしないことを示すいい機会にな る」と話しました。

贈呈式ではアワー氏の希望で軍艦マーチの伴奏が流され、招待者も登壇して鉢巻き姿のアワー氏とともに熱唱しました。産経新聞の太田英昭会長は湾岸戦争後、広島・呉港に戻ってきた掃海艇を米海軍の軍楽隊が軍艦マーチで迎えた逸話に触れ「先ほどの歌は、アワーさんから日本と日本人への心のこもった励ましのメッセージだったと思う」と振り返りました。

「アワー氏は安全保障の常識を示してくれる」安倍首相挨拶の詳報

安倍晋三首相は7日、東京都内で行われた第31回正論大賞贈呈式であいさつし、外国人として初めて大賞を受賞した米ヴァンダービルト大名誉教授の ジェームス・E・アワー氏について「グローバルスタンダード、安全保障の世界の現実と常識を私たちに示してくれる」と評価した。首相のあいさつの詳細は以 下の通り。

皆さん、こんばんは、安倍晋三でございます。ジェームス・E・アワーさんと奥様、本当におめでとうございます。外国人として初めて、正論大賞を受賞なさるということで、私は本当にうれしく、足を運ばせていただいた次第でございます。

今日、私が持ってきた本は何か。これは私の自伝ではなく、ジェームズ・アワーさんの自伝でもないんですが、実は平成19年、私が総理の職を辞して、2カ月後の11月27日にアワーさんが私の自宅を訪問されました。そのときにいただいた本でございます。

これはチャーチルの伝記でありました。この表題が「Never Despair」、決して諦めないということであります。それはつまり、チャーチルはかつて海軍大臣時代にダーダネルスの作戦の責任を取って辞職をし、そしてまた1945年から65年までなんですが、戦争 が終わった後は選挙に負けて、総理の職を辞したわけでございますが、決して諦めなかったということであります。おそらく政治家人生を諦めているんだろうな と思う安倍晋三のところに、アワーさんがやってきてくれまして、この本を私に手渡していただきました。

そして「安倍さん、この本は別に読まなくてよいよ。この表題だけずっと見つめてもらいたい」ということでございました。私もこの表題を見つめながら、同時にアワーさんに書いていただいたんですが、

「Winston Churchil never Despaired, Please ABE san never Despaired」。こう書いてありました。

私も諦めなかったおかげで、3年前、復活することができたわけでありまして、これもアワーさんのおかげかな…。

産経(新聞)の正論欄にアワーさんの正論が載るのを私はいつも大変、楽しみにしています。まさにアメリカというか、グローバルスタンダード、安全保障の世 界の現実と常識を私たちに示してくれるのが、今、アワーさんではないのかなと思います。大変、示唆に富んだ、いつもコラムを書いていただいております。

アワーさん、なんと言ってもフロントでありまして、自衛隊の幹部学校にも留学されましたし、そして、またあるいはレーガン政権時代に日本部長とし て、そしてまた国防長官の特別補佐官としてさまざまな業績を残していただいたのでございますが、特に米空母が横須賀を母港とする。米国では大変、大きな反 対があるということを伺っておりました。

特に議員からの反対があった。もちろん整備のための雇用が失われてしまうということもあるんです が、しかし、「日本人にこの航空母艦の整備ができるか、できないだろう」という声があったとそうであります。そうした議員を一人一人アワーさんが当時、訪 ねていただきまして説得をしたそうであります。

説得する際に反対議員にこう聞いたそうであります。「世界で初めて空母機動部隊を作戦に 使った国はどこか、あなたは知っていますか」。そしたら「アメリカだろう」と。「そうじゃない、日本ですよ。その日本が整備できないはずはないでしょ」と いって説得したという話が当時、アワーさんからお伺いしたわけでありますが、いわば日米の絆を強化するために本当にご尽力をいただきました。

また、アワーさんが3人のお子さんを養子として育てたことは有名な話でございます。一番下のお子さんが日本人、真ん中のお嬢さんが米国人、一番上の お兄さんが韓国人で、このお子さんをアワーさんと奥さんが育てられた。そして、一番下の日本人の男の子が当時4歳の米国人のお姉さん、5歳の韓国人のお兄 さんを見て、「私は4歳になったら米国人になるの、5歳になったら韓国人になる」と言ったという話は私も非常にインターナショナルだなと感銘を受けたわけ ですが、このアワーさんが今後とも日米関係の発展のためにご尽力をいただきたいと思うわけでありますし、現在、アジア太平洋地域の安全保障環境は大変、厳 しくなっているわけであります。

今こそ、日米の同盟を強化していかなければならないわけであります。アワーさんにもご尽力いただいたわけでございますが、昨年、ガイドラインを改定し、また平和安全法制を制定をし、日米の絆は間違いなく強化されているわけでございます。

目の前に民主党の長島(昭久)議員もおられますが、長島さんにも今の私の話は心の中では賛同していただけたのではないかな(会場に笑いと拍手)、そう思う 次第でございますが、将来は安全保障に関しては政党間で、与野党あまり隔たりのない状況ができればいいな、こう考えている次第でございます。

正論大賞受賞を機にますますアワーさんがご活躍されますことを期待をしまして、ご夫妻のご健康を祈念いたしまして、私のお祝いのことばとさせていただきたいと思います。

本日は本当におめでとうございました。

A26J8895

A26J8839

A26J9020