雑誌正論掲載論文
報道ステーション 古舘伊知郎/クローズアップ現代 国谷裕子 去りゆく「名」キャスターたちの罪と罰
2016年03月15日 03:00
サヨクウォッチャー 中宮崇 月刊正論4月号
アインシュタインが100年前に相対性理論において予想していた「重力波」がついに観測されたとかで、「天文学における一大革命だ」などと世界中が騒がしい。ところが頭のおかしい反日サヨクたちにとっては、そんな人類史上の大ニュースも、反安倍運動のための燃料でしか無い。試しにツイッターやグーグルで「重力波 安倍」というキーワードで検索してみて欲しい。「重力波の歪みか?安倍歪みは解明出来てるだけど、何とかなりませんかネ?」「安倍政権が歪んでいるのは重力波のせいと把握(笑)」「安倍脳内は重力波による時空の歪みで歴史修正されているのか。いや、そんな複雑な脳内ではないよな」等々。
重力波に限らない。こうしたサヨクの脳内においては、この宇宙におけるあらゆる事件事故は「安倍の陰謀」である。北朝鮮がミサイルを発射した際に「北朝鮮 ミサイル 安倍」で検索すれば「北朝鮮のミサイル発射は安倍の陰謀」と喚き立てるサヨクを大量に観測できるし、台湾地震で死者が出た時は「台湾地震は安倍の陰謀」という意味不明の言説のオンパレード。「市民団体」だの「無党派層」だのを詐称し、「反戦平和」と絶対正義を悪用して振りかざしながら、その実極めて異様な反日、差別活動を行うことがまかり通っているのが我が国の現状だ。しかし、状況は更に深刻である。なにしろ、テレビ局のニュース・報道番組まで「この世の全ての事件・災害は安倍のせい、安倍の陰謀」と騒ぎ立てるサヨク同様の低質なオカルトまがいの番組で溢れているのだから。
古舘伊知郎がテレビ朝日「報道ステーション」のメインキャスターを辞めるらしい。2004年4月5日の放送開始から12年に渡り平日深夜の時間帯における他局報道番組を引き離し、視聴率トップを独走して日本の夜のお茶の間を支配してきたお化け番組にとって、大事件である。12年前の放送開始当初から毎回欠かさず録画し放送内容を監視してきた報ステオタクの私としては、極めて残念な降板劇だ。なぜなら、我が国にはびこる「この世の全ての事件・災害は安倍のせい、安倍陰謀」といわんばかりの低質なサヨク報道番組において、報ステは、〝比較的マシ〟であるからだ。
一般に、テレビ朝日の報道ステーションとTBSのNEWS23は、あの時間帯における「反日サヨク報道番組の双璧」とみなされている。ここにTBSの日曜朝のワイドショー、関口宏の「サンデーモーニング」を加え、「三大反日サヨク報道番組」と見る向きもあるし、最近は、国谷裕子が司会を務めるNHKの「クローズアップ現代」を合わせた四番組が、「偏向報道」「反日報道」等の批判を頻繁に受けているといっていい。しかし読者には意外であろうが、これら四番組を十数年間に渡り一々全て録画し監視してきた私に言わせれば、報ステは間違いなく他の三番組よりマシな報道番組だ。
無論、報ステは決して理想的な報道番組などではない。サヨクであることは間違いないし、他の三番組同様、プロにあるまじき幼稚なミスや悪意ある捏造もある。しかし、それでもNEWS23やサンデーモーニング等が「幼稚でモラルに欠けるアマチュア」な上に、一貫して「親北朝鮮・親支那の反日プロパガンダ番組」という、ある意味、筋の通ったサヨクであるのに対し、報ステは親北朝鮮・親支那でも反日でもない。単に「幼稚でモラルに欠けるアマチュア」なだけである。その意味において「マシ」なのだ。
報ステは他の三番組に比べ、良くも悪くも「視聴率至上主義」である。NEWS23やクローズアップ現代等が明らかに視聴率を二の次にすることがあるのとは大きく違う。実際、その方針は成功によって報われており、報ステの視聴率は常に約15%をキープしている。ただし、この視聴率至上主義が、報ステを「反日」「反安倍」に見せる。要するに報ステは視聴者が求めているものを提供しているだけなのである。大衆が求める、無責任ではあるが痛快な辛口床屋談義を投げ与えていることに徹しているのである。大衆が求めるものであれば時に「反日」報道も行うし、同様に求められれば、正当な北朝鮮バッシングも行う。報ステにあるのはイデオロギーではなく商魂なのではないか。少なくとも、私が、NEWS23に感じるよう
な「優秀なオレサマが愚かな大衆を導こう」などという、インテリのサヨクらしい思い上がりは無い。その点が、視聴率に悪影響があっても常に反日反安倍に勤しむNEWS23やサンデーモーニング等と異なっている。
故に報ステは、大衆が嫌悪する「ウソ」や「二枚舌」等の批判にも敏感だ。NEWS23やサンデーモーニングとは、一線を画す。
例えば、NEWS23は最近、衆院議員を辞職した自民党の「育休議員」、宮崎謙介をめぐる不倫騒動を取り上げて、安倍政権叩きの格好の材料として非難していたが、一方で06年に山本モナとの不倫を報じられた民主党細野豪志については、非難どころか徹底的にスルーを決め込み、むしろ擁護の姿勢を示した。明らかに矛盾する対応だが、なにがなんでも保守系の政党を叩くという意味では、これは由緒正しい一流のサヨクである。しかし、報ステは、どちらのときも、ひとまず公平に批判していた。〝由緒正しい一流〟のサヨクから見れば、誤った三流の報道であろう。
古舘やスタッフが特に「公正」や「正義」を重んじているのではなく、卑劣なウソや二枚舌は視聴者にそっぽを向かれるという当たり前の常識と処世術をわきまえていれば、そうなってしまうのである。いくら口先だけでは御大層な正義を振りかざしても、その態度がダブルスタンダードであれば大衆の支持は得られないことは、民主党やSEALDs等のサヨクの凋落を見ても明らかだろう。
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■ 中宮崇氏 昭和45(1970)年、北海道生まれ。豊橋技術科学大学卒業、名古屋大学大学院経済学研究科除籍。ネットメディア「週刊言志人」を主宰。韓国の反日について積極的に発言する。著書に『天晴れ! 筑紫哲也news23』(文春新書)。