雑誌正論掲載論文
ギネス級! 電子本1・5万冊購入で端末表示不能の俺って…やっべぇぞ!
2016年01月25日 03:00
サヨクウオッチャー 中宮崇 月刊正論2月号
ひょっとして私はギネスブック級のことをやらかしたのか?
それはなんの変哲もない今年9月4日の昼下がりのことであった。Amazonの電子書籍端末「Kindle Paperwhite」を購入してから924日目となるその日は、Amazonでの電子書籍購入冊数が15000冊目となる区切りの日であったのだ。Kindleの画面上の14999冊という文字を感慨深く見つめつつ、私は記念すべき一冊を購入するためのワンクリックを行った。が!数字は全く変化しなかったのだ! 14999冊の表示のまま、時間そのものが止まってしまったかのように…。
私はすぐに、Amazonのホームページからカスタマーサービスに連絡を取った。Amazonはなんと、5秒以内に電話代向こう持ちで連絡して来てくれるのである!
「どうなさいました?」という爽やかで元気だったおねーさんの声が、一瞬にして強張った。「え、そ、そのような不具合については今まで報告がありませんでしたので…」。報告がない? ということは世界初の現象なのか? 世界初の一時的な不具合ということであればまだわかるが、もしこれが仕様だとすると、私は世界で初めて15000冊もの電子書籍を購入した人間なのか? 結局結論は出ず、調査の上後日メールにて結果を報告していただくということになった。そして翌日、「14999件の表示が上限となる仕様であることがわかりました」とのメールがやってきた。しかし、本当に仕様だったとは…。
9月4日の時点で、既に一日当たり16・2冊というアホのような爆買いをしていた私であるが、その後の3ヶ月の間ではその数は一日当たり55冊となり、加速度的に増えている。一生かかっても読み切れぬ数の電子書籍を毎日購入し続けているのだ。馬鹿である。
2012年頃に、コンプリートガチャ(コンプガチャ)が社会問題になったことがある。スマートフォン等携帯電話において無料でゲームをやらせ客をハマらせておいて、特殊なアイテム等を入手するためには課金を必要とする一種のくじを引かせて儲けるというビジネスモデルをガチャと言う。ただでさえ中毒性の高さゆえ問題になりがちなガチャを更に射幸心を煽るようにしたのがコンプガチャであり、現在は規制されている。
実はAmazon Kindle等で電子書籍を購入する感覚は、ガチャにハマる感覚に非常に似ている。カード情報さえ事前に登録しておけば、ワンクリックで本が買えてしまい即座にダウンロードして読めてしまうのだ。私なんぞは毎日クリックの連打である。
Amazonのヤバさについては様々なことが既に言い尽くされていると言って良い。「書店を潰す」「宅配便等流通網に負担をかけている」「購入した電子書籍が後に配信停止となり読めなくなってしまう」等、上げれば切りがない。しかしIT屋の私からすると、一つだけ抜けている批判があるような気がするのだ。それは「人工知能」である。
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■ 中宮崇氏 昭和45(1970)年生まれ。名古屋大学大学院経済学研究科除籍。学生時代から反朝日新聞、反サヨク。