雑誌正論掲載論文

世はこともなし?第122回 笑韓でいきましょう

2015年07月25日 03:00

コラムニスト・元産経新聞論説委員 石井英夫 月刊正論8月号

 近所づきあいで、うんざりすることはいくつもある。しかしいま、韓国という隣人ほどひとをうんざりさせるものはそうない。

 ヘキエキというか、ヤレンナアというか。顔も見たくないという、こちら側の隣人は少なくないだろう。

 一貫して反日政策をとる隣国の朴槿恵大統領が、こんどは世界遺産登録にイチャモンをつけてきた。核拡散防止会議の「ヒロシマ・ナガサキ」にも、中国に同調して反対している。ユネスコの諮問会議であるイコモス(国際記念物遺跡会議)が、明治日本の産業革命遺産を登録するよう勧告してくれた。六月末からドイツで開かれる登録委員会で正式に登録される見通しが高いという。

 明治日本の遺産とは、長崎の端島炭鉱(通称・軍艦島)など二十三施設だが、例によって朴大統領はコロンビアやペルーなど世界遺産の委員国をかけめぐり、登録反対の〝告げ口外交〟でふれ回った。「週刊新潮」で、産業遺産国民会議専務理事の加藤康子さん(56)が嘆いている。

 これらは昭和ではなく明治の産業遺産である。しかしこれまた例によって、韓国の理不尽な横車を後押しする日本の反日マスコミがあるから、やりきれない。

 最近、狂気の左巻き新聞と化した東京新聞は「隣国の痛みや悲しみを伝えるべき」「加害に向き合わぬ日本」(5月20日)と〝良心的〟を装った筋違いを展開する。朝日新聞も「韓国反発 国民感情くむ」(5月9日)とオベッカを使う。

 おや、お前さんは朝日はやめたはずだし、東京なんてふだん目にしていまいといぶかる方がいるだろう。そう、その二紙は購読していないが、WiLL紙の友人M君が両紙のトンデモ記事をコピーして送ってくれるのである。

 ともかくこの隣人とはもうつきあいたくない。そうかといって、声高に悪韓、反韓、嫌韓、呆韓…を口にするのもばかげている。どうしたら良かんべえと思案していたところへ、漫画家の高信太郎さんから『笑韓でいきましょう』(悟空出版)という新著が送られてきた。

 帯に「ヘイト(スピーチ)も嫌韓も日本人の名折れだけど、ならば笑って楽しんじゃおう!」とある。「ダメだ。コリア!」とある惹句は、あのいかりや長介の決めぜりふ「だめだ、こりゃ」のもじりだろう。そうか、頭ごなしにぶったたくのでなく、笑い飛ばしてしまうって、か。表紙に韓国衣装の女性がヒステリックに目をつり上げている。コーシン漫画だ。

 しかし高さんは大の韓国通で知られている。この人の韓国とのかかわりは、映画の崔洋一監督に新宿ゴールデン街で殴られ「そのショックで韓国語がしゃべられるようになってしまった(笑)」そうだ。『まんがハングル入門』(カッパブックス)など韓国本もたくさん出している。その親韓派が「韓国とはおさらばする」というのだから、よくよくのこと。とにかくこの国はもう笑い飛ばすしかないと、丸ごと黒いギャグとクスグリ、危ないユーモアとウイットがこめられた一冊なのだった。

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■ コラムニスト・元産經新聞論説委員 石井英夫 昭和8年(1933)神奈川県生まれ。30年早稲田大学政経学部卒、産経新聞社入社。44年から「産経抄」を担当、平成16年12月まで書き続ける。日本記者クラブ賞、菊池寛賞受賞。主著に『コラムばか一代』『日本人の忘れもの』(産経新聞社)、『産経抄それから三年』(文藝春秋)など。