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第30回「正論大賞」(フジサンケイグループ主催)の贈呈式が23日、東京都港区のグランドプリンスホテル高輪で開かれ、現代史家の秦郁彦氏と東京基督教大学教授の西岡力氏が大賞を受賞した。また第15回正論新風賞には東海大学教授の山田吉彦氏が受賞した。
秦氏は、慰安婦問題で昨年8月に朝日新聞が虚偽証言と認めた「吉田証言」を産経新聞と雑誌「正論」で初めて批判し、現在も南京問題や東京裁判などをはじめとする近現代史について言論活動を展開している。西岡氏は「『女子挺身隊』の名で戦場に連行された」とする報道に初めて疑義を唱えたほか、北朝鮮による拉致問題についての言論活動などが評価された。山田氏は日本海洋研究の第一人者で、「積極的に世界の海を守るのが日本の役割」と海洋安全保障の重要性を訴えてきた。受賞者には安倍晋三首相から「いわれなき批判やレッテル貼りにもひるまず、正論を説き続けてきた。『信念の研究者』だ」というメッセージが寄せられた。
第30回正論大賞・正論新風賞贈呈式 安倍総理メッセージ全文
30回目の記念すべき正論大賞が、かくも盛大に開催されますことをお慶び申し上げます。
今回は平素から大変お世話になっている、秦先生、西岡先生、山田先生が受賞されると伺い、是が非でも馳せ参じたいと考えておりましたが、予算委員会のまっただ中、公務のため失礼させていただくことをまずはお許しいただきたいと思います。
フジサンケイグループが進めておられる「正論路線」に改めて敬意を表します。正論とはどんなに時が経っても、いかに世論や社会の風潮が移ろうとも、色褪せることのない議論であります。
正論はしばしば「時の世論」と相容れぬこともあります。30年近く前、私が初めて拉致問題を知ったとき、日本人の誰もがこの許すことのできない国家的犯罪を信じられず、そして放置していた。これが現実でありました。
すべからく、正論にはその議論もさることながら、それを貫き通していく強い意志と行動力が求められます。今回受賞されるお三方は、いわれなき批判やレッテル貼りにもひるむことなく、決然と正論を説き続けてきた。まさに「信念の研究者」とも呼ぶべき方々であると思います。
そして、「至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり」であります。事実の積み上げと緻密な分析に基づく正論こそが最後には、世の中を動かしていく。私は、そう信じております。
日本が、客観的な事実に基づいて、正しく認識される。国際社会から正しい理解と正当な評価を受けられるよう、私も毅然としてその役割を果たしていく決意であります。
最後となりましたが、受賞された皆様がこれを機に、更に素晴らしい言論をこれからも世の中に発信していく。更なるご活躍を心より祈念いたしまして私のお祝いのメッセージとさせていただきます。本日はおめでとうございました。