雑誌正論掲載論文

突撃取材 韓国・慰安婦暴走政策の司令塔「女性家族省」

2014年02月05日 03:00

ジャーナリスト 大高未貴 月刊正論3月号

 2014年1月15日、韓国女性家族省が、慰安婦をユネスコの世界記憶遺産に登録する計画を推進していると発表した。米西海岸の地方都市における慰安婦騒動に続き、今度はユネスコに登録というのだから、国際社会で日本を貶めようとする韓国の対日侮蔑政策はとどまるところを知らない。

 日本外務省のY氏からこんな話を聞かされた。「実は、韓国の外務省の本音は慰安婦問題に消極的なのです。彼らも1965年の日韓協定ですべて解決済みであることは認識している。これに対して慰安婦問題を積極的に推進しているのが、日本ではほとんどなじみのない女性家族省なのです」

 韓国の女性家族省は、女性の権益増進などの地位向上、児童~青少年の育成・福祉・保護に関する事務を遂行している政府機関である。

「彼らは1月30日からフランスで開催されるアングレーム国際漫画祭に、慰安婦の漫画を出展します。女性家族省長官や元慰安婦ら総勢約500人が渡仏し、イベントを開催するみたいです。もちろん日本外務省もフランスの主催団体や韓国政府に抗議をしていますが、なしのつぶてです」

 そういえば13年10月、趙允旋(チョ・ユンソン)女性家族省長官が国連で、元慰安婦に対する日本側の謝罪と責任ある措置を要求したことは記憶に新しい。私はいろいろな思いを抱きながら昨年12月、女性家族省に直撃取材を試みた。

■性奴隷の表現使わぬと担当者

 応対してくれたのは慰安婦の担当者(以下担とする)だった。

大高「突然の訪問で申し訳ありません。私は慰安婦問題を勉強している者です。フランスの国際漫画祭に慰安婦の漫画を出展すると聞いたのですが、できれば内容を知りたいので見せていただけないでしょうか?」

 担当者は警戒心を抱きながらもこう言う。

担「うちも漫画を作るのは初めてで、いま製作中です。来年の1月15日に完成予定です」

 漫画祭まで1カ月余り。なんとも悠長なものである。私は、すでに公表されている漫画について尋ねた。韓国の民間人のHPに掲載され、韓国で最も有名な慰安婦漫画である。

 簡単に内容を説明すると、日韓合邦時代の1926年に当時14歳だった少女が家計を助けるため、姉と一緒に挺身隊に入って日本軍の軍服を作るのだが、ある日、日本の官憲に・もっと稼げるところがある・と慰安所に連行され、そこで日本軍将校に・皇軍兵士に体を捧げることを光栄に思え・といわれてレイプされ、その後、一日30人、多いときで一日70人の日本兵に性の玩具にされる。そして敗戦の日、慰安所の女性達が集められ口封じのために皆銃殺されるのだが、主人公と姉は奇跡的に生き残り、戦後は勇気をふるって日本大使館前の水曜デモに参加しているというストーリーである。

 物語もさる事ながら、漫画の絵も素人レベルで、内容を事実だと立証する証言もない、ある種のファンタジーで、日本糾弾のために描かれた漫画を出展したら、恥をかくのは韓国だ。ただ、担当者によると、女性家族省が公式に発表したものではないという。

担「それにしても何故あなたは漫画に関心があるのですか?」

大高「売春が法的に認められた当時、民間人が経営する軍専門の慰安婦がいたのは事実ですが、・性奴隷・という表現とは乖離したものだと思っているからです。」

担「一般的な日本人もそう思っていますか?」

大高「もちろんです! 先日も沖縄の宮古島の慰安婦の碑を取材しましたが慰安婦運動を推進するサヨクの郷土史家でさえ、・性奴隷・は不適切だと言っていました」。

担「今ですね、吉見義明教授とか市民団体とかバウネットの主張とか研究成果を一般の日本の人はどう思っているのですか?」

大高「以前と違い、はっきりいって、彼らはまったく日本では相手にされていません」

 私はこう答えた。さらに日本国内で聞かれるこうした主張が一部の過激なサヨク活動家らによって牛耳られていること。更に日本政府の出した河野談話がずさんな調査結果によって韓国政府とのスリ合わせで発表したことが産経新聞に暴露され、朝日新聞の慰安婦報道には誤りがあると読売新聞に指摘されたことなどを告げた。多くの日本人は慰安婦問題の真実に気づきはじめている。そもそも・奴隷・という言葉は、白人が黒人に手錠や足枷をはめてアメリカに連行し、ただ働きさせるために人身売買したイメージが定着しており、慰安婦を性奴隷とすることは実態と隔たりが大きいと繰り返し、「日本軍がアジアの女性20万人も手錠や足枷をはめて陵辱したのでしょうか?」と聞いた。

担「そうですね結構悪いイメージですね」。

大高「漫画ではセックス・スレーブという表現を使うのですか?」

担「それはありません」

大高「それで安心しました!」

 漫画祭で性奴隷という表現は使わないという情報を得たものの、本当にそうなのか。

続きは正論3月号でお読みください

■ 大高未貴氏 昭和44(1969)年、東京都出身。フェリス女学院大学卒業。世界100か国以上を訪れ、ダライ・ラマ14世、PLOのアラファト議長にインタビューする。衛星放送チャンネル桜キャスター。著書に『神々の戦争』(小学館)、『魔都の封印を解け!』(防衛弘済会)など。