雑誌正論掲載論文
世はこともなし? 第101回 ほらね、やっぱり朝日だよ
2013年10月25日 03:00
コラムニスト・元産経新聞論説委員 石井英夫 月刊正論11月号
櫻井よしこさんが『WiLL』十月号に寄せた論文の見出し「つけ火して、煙り喜ぶ、朝日新聞」をみて、思わず笑ってしまった。笑ったと書いたのは、感心してである。ウマイ と膝を叩いたのだ。
その見出しは朝日新聞批判特集のなかの「麻生ナチス発言」問題につけられたものだ。いうまでもなく山口県周南市の五人殺害放火事件で、保見光成容疑者(63)が自宅の窓に張りだした「つけびして煙り喜ぶ田舎者」の川柳?のもじりである。
櫻井さんは、麻生発言で朝日の紙面は「熱狂」したと書いた。私にいわせれば「発狂」したで、1面、社会面、天声人語を総動員して朝日は燃え上がった。それを厳しく批判したのだが、この見出しになるような文言は、櫻井さんの文章のどこにもない。卓抜だが下世話な感覚は櫻井さんのものではないから、恐らく同誌H編集長あたりがほくそ笑んでつけたものだろう。傑作だった。
麻生問題といえば、もう一つ秀逸な見解があった。ビートたけし氏の週刊ポスト誌「21世紀毒談」である。
「まアわざわざ『ナチス』なんて言葉を出してくるのは麻生さんも不用意だけど、もっと解けないのは朝日新聞やらがこのニュースを海外に向けて大々的に発信して責めるという図式だよ」
「ある意味、(これは)身内の恥だろう。(中略)うまいこと海外にバレないように、目立たないようにしておけばいいのに、わざわざ外国から文句をいわれるように仕向ける了見がわからないんだよな」
その通り、教科書誤報問題もそう、朝鮮人慰安婦問題もそう、わざわざ海外に向けてご注進する。「つけ火して喜ぶ」性癖は、朝日の伝統的で犯罪的な体質だったのである。
「はだしのゲン」問題も例外ではない。
反原爆をいうなら、もっと適切な子供向けの漫画や著作はいくらでもある。旧日本兵が首を刀で切り落としたり、女性の陰部に一升ビンを突っこんで殺したりする残酷で非現実の場面を、なぜ子供に見せつける必要があるのか。
知り合いの編集者・金井雅行さん(44)=清流出版=はこう言う。
「ぼくは『はだしのゲン』世代です。小学校3、4年のころ、日教組バリバリの教師がすすめ、学校推薦図書になってました。しかしぼくは出来の悪い児童でしたからソッポを向いてました。これは反戦プロパガンダ漫画で反天皇、反日本の漫画です。いや当時から絵が汚くて、古くさかった。だから出来の悪いぼくはソッポを…。『はだしのゲン』はもうとうに脳死した作品だから、今さらわざわざ閲覧制限する必要もない。寝た子を起こさずに、そっと安楽死させときゃ良かったのです」
この『はだしのゲン』問題でも、8月27日の朝日新聞は1面と社会面の各トップで「発狂」報道をし、これでもかこれでもかと騒ぎ立てた。内容は書くまでもない。
ところがである。ところがその8月27日付の同紙は奇っ怪であった。
続きは正論11月号でお読みください。