雑誌正論掲載論文
私が日韓議連を辞めた理由 韓国には堪忍袋の緒が切れた
2019年02月05日 03:00
衆議院議員 城内実 月刊正論3月号
2018年11月に超党派の日韓議員連盟(会長・額賀福志郎元財務相)を退会しました。理由を挙げると切りがありません。韓国軍による自衛艦旗「旭日旗」の掲揚自粛要請、韓国国会議員団の竹島(島根県隠岐の島町)上陸、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟…。日本を標的にした韓国側の相次ぐ挑発に対し、とうとう堪忍袋の緒が切れました。現状では「未来志向の日韓関係」を築くことはできないと確信すると同時に、議員外交の限界を感じました。
報道によると、安倍晋三首相は昨年12月にソウルで行われた日韓議員連盟と韓日議員連盟との合同総会に慣例の祝辞を寄せなかったそうです。私が仮に日本の総理大臣だったとしてもそのようにしていたと思います。それほど最近の韓国の日本に対する態度は常軌を逸しています。
日韓議連に対しては、「韓国に宥和的すぎるのではないか」という批判があります。実際、先の合同総会でまとめた共同声明は、日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」の解散やいわゆる徴用工判決に「深い憂慮」を示しましたが、韓国国会議員の竹島上陸には触れませんでした。これに加え、日本の「植民地支配と侵略」を謝罪した平成7年の村山談話や平成5年の河野談話などには言及し、日本での永住外国人への地方参政権付与の実現への努力も表明したようです。こうしたことを考えれば、「韓国に宥和的すぎる」という日本国民の不満も理解できなくはありません。
とはいえ、私は今回の退会によって、日韓議連に所属する国会議員の方々を批判するつもりは毛頭ありません。どれほど両国政府間の関係が悪化したとしても、韓国側との議員外交のパイプだけは残しておきたいというお考えは理解できるし、尊重します。
ただし、韓国最高裁の判決が出た直後の昨年12月の訪韓のタイミングは明らかにおかしかったと思います。「判決内容には納得できない」という日本の国会議員団の総意を示すためにも、訪韓の時期は見直すべきでした。
しかも、日韓議連にとっては決まりが悪いことに、韓国軍は訪韓に合わせたかのように彼らが不法占拠する竹島の近海で「防衛訓練」を敢行しました。
日韓両国は、ともに米国と同盟関係を結んでいることを考えれば準同盟国のはず。その準同盟国の国会議員の訪韓中に竹島で訓練をしたと聞き、私は正直、「まさかそこまでするか…」と衝撃を受けました。韓国に滞在していた日韓議連の方々は私以上にびっくりされたのではないでしょうか?
韓国側の態度は挑発以外のなにものでもありません。端的に言えば、日本の国会議員団はコケにされたのです。日韓議連の方々が現地で韓国側に猛烈な抗議をしたとは聞いていません。真の友情を育むためには、言うべきことは言わなければなりません。変に遠慮をしたり、黙っていたりすると、逆に双方に不満がたまり、将来に禍根を残すことになるからです。特に日韓両国は隣り同士であり、互いに引っ越すことはできないわけですから、相手の耳に痛いことであっても口にしなければならない時はあるはずです。
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■ 城内実氏 昭和40(1965)年生まれ。東京大学教養学部卒業後、外務省に入省。平成15(2003)年の衆院選で初当選を果たし、外務副大臣、衆院拉致問題特別委員長などを歴任した。