雑誌正論掲載論文

世はこともなし? 第106回 「脱亜入ア」のすすめ

2014年03月20日 03:00

コラムニスト・元産経新聞論説委員 石井英夫 月刊正論4月号

 パブロフの犬でもあるまいに反日、侮日、克日とワンパターンで吠え立てやがると思っていたら、今度は・用日・だと。あえて日本を使って役立てるのだという。

 いい気なもんだ、勝手にさらせとあきれるほかないが、一方、こっちもこっちで悪韓論、嫌韓論、呆韓論…とかまびすしい。

 漫画家の高信太郎さんはハングルにも精通する韓国通だが、それがいまや「小生は亡韓論です」と手紙で言ってきた。この人もまたかの国にはもはやつける薬はないとサジを投げたのだろう。

 彼は月刊誌に連載中の『コーシンの世相談義』で、安倍首相に「今後も靖国参拝を堂々と続けてほしい」と訴え、「アジアは中国、韓国だけではありません。二国以外のアジアは皆親日です」と書いている。

「日本が戦ってくれたから独立できたという国も沢山ある。そういう国の方々に参拝してもらえばいいのです。つまり福沢諭吉の『脱亜入欧』ならぬ安倍晋三の『脱亜入ア』なのです(大笑)」と。手紙の追伸で「このアにはアフリカも入っています」と書いて寄こした。

 コーシンさんに同感で、君子の交わりは水のごとし。もはや中韓とはあえて敵対はしないが、むりな友好はごめんだという気になる。

 拓大総長の渡辺利夫さんも「正論」(一月十日付)でのべていたが「日本の領域を侵犯し、日本人の歴史認識に刃向かう中国、韓国を眼前にしていると、明治十八年、福沢諭吉がみずから創刊した時事新報に『脱亜論』を執筆したときの気分がわかろうというものである」。

 漫画といえば、この冬、フランス南西部のアングレームで催された国際漫画祭で、韓国の慰安婦漫画「散ることのない花」が大モテになり、逆に日本側のブースは「政治的」という理由で出展を拒否された。旧日本軍が朝鮮半島の少女を集団で拉致したり、暴行したりする漫画だという。歴史の事実を歪曲した捏造漫画がもてはやされ、「強制連行なんてなかった」と訴える日本の主張がボツにされたとは、何をかいわんや。

 中国と韓国の反日プロパガンダは、カサにかかって攻勢を強めている。

 スイスのダボス会議では、安倍首相に「軍国主義者」のレッテルを貼り、ナチスと日本を同列に並べて「アジアのヒトラー」呼ばわりをした。とりわけ韓国の宣伝戦は見境がない。初代韓国統監をつとめた伊藤博文の暗殺犯・安重根の記念館をハルビン駅に開設したり、米バージニア州議会で日本海の名称に「東海」を併記させる法案を可決させたりした。「ウソも百回重ねれば真実になる」式の反日運動にしてやられているのだ。

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■ コラムニスト・元産經新聞論説委員 石井英夫 昭和8年(1933)神奈川県生まれ。30年早稲田大学政経学部卒、産経新聞社入社。44年から「産経抄」を担当、平成16年12月まで書き続ける。日本記者クラブ賞、菊池寛賞受賞。主著に『コラムばか一代』『日本人の忘れもの』(産経新聞社)、『産経抄それから三年』(文藝春秋)など。