雑誌正論掲載論文

[特集]対中防衛最前線の島々で 地元市長が吠えた!石原構想に全面協力、尖閣は我らが守る

2012年06月16日 03:00

 「中国に文句を言われる筋合いはない」―。石原東京都知事とともに、尖閣の実効支配を目指す中山義隆・石垣市長の胸の内 (聞き手)ジャーナリスト 井上和彦 (月刊正論7月号

国民の尖閣防衛の意思「ありがたい」

 ――東京都の石原慎太郎知事が表明した尖閣諸島購入計画は大きな支持を集め、都に寄せられた購入のための寄付金は5月21日までに8億4千万円を突破しました。尖閣を行政区域とする石垣市の市長として、国民の反応をどう見ておられますか。

 中山 多くの国民が石原知事のお考えに賛同し、我が国固有の領土を守ろうとされていることに感動しています。危機にある尖閣諸島を行政区に抱える市長として本当にありがたく感じています。金額の大小にかかわらず、数多くの人々から寄付が集まっていることに意義があり、皆様の行動とその気持ちを大変心強く思っています。

 ――中国漁船による海保巡視船への体当たり事件(2010年9月)や北朝鮮弾道ミサイル発射事案(2012年4月)で、石垣島が安全保障の最前線として注目を集めています。市民の反応はいかがですか。

 中山 中国漁船事件は、海上保安庁の巡視船に体当たりしてくるという危険極まりない事件でしたから、市民は尖閣諸島周辺海域の厳しい現実を認識し、自分たちの島が国境離島であるという危機感を感じたと思います。逮捕した中国人船長を処分保留のまま帰国させたことについては、特に、漁民のみなさんが今後の国の対応に大きな不安を抱いています。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射時には、石垣島の上空をミサイルが通過するということで島中に緊張感が走りました。何らかのトラブルでミサイルが落下してくる万が一の事態を想定してペトリオットミサイルPAC3が配備されましたが、大多数の市民が理解を示し、日頃は自衛隊反対を唱えている団体のみなさんも、今回は市民の反感を買う恐れがあるとして活動を躊躇したほどです。

 この2つの事案によって、我々石垣市民は国境の島に住んでいることを改めて認識し、そして安全保障の重要性を痛感しています。

 ――尖閣諸島を東京都が購入する計画自体については、どうお考えですか。

 中山 全面的に賛成です。尖閣諸島が個人所有から国や自治体などの公的機関が所有管理することになれば、領有権を主張する中国やその意を受けた資本などに買われるリスクは無くなります。

 当初は地元として購入には一定割合参加すべきだと考え、都幹部の方が調査で石垣島に来島された際、市の考え方のひとつとして共同購入の案をお伝えしました。結果的に実現しませんでしたが、共同購入にこだわっていたわけではありません。今回の購入計画は現在の所有者の方と石原知事の2者間の信頼関係の上に成り立っています。とにかく都の購入の実現が最優先で、4月23日に石原知事にお会いしたときにも、『全面的にお任せします』と申し上げています。

 今一番大切なのは、尖閣諸島が一日も早く、公的機関によってしっかりと所有・管理され、外国資本に買われたりすることのないようにすることです。市は東京都との連携を密にするため専任担当者を配置しましたので、今後とも協力体制を構築していきます。

 ――市長の石原知事への賛同表明を聞いた石垣市民の反応はいかがでしたか。

 中山 一部地元マスコミが石原知事の購入計画にいろいろ意見を言っておりましたが、市民は歓迎ムードでした。『市長、頑張って!』などと私にも激励の声をかけてくれる人もいて心強く感じております。都と石垣市の共同購入計画がなくなる前ですが、『石垣市が尖閣諸島を買うんだったらこれを使ってください』と言って寄付金を持参された方もいたほどです。今のままでは、尖閣は守れないという意識が市民にもあったことの表れだと思います。反対運動はおきておりません。

もはや国は“期待できず”

 ――石原知事の購入構想発表に対する日本政府の対応についてはどのように思いますか。

 中山 石原知事は、本来国がやらなければならないことをよくぞご決断されたと思います。石原発言を受け、政府はあわてて国も購入する用意があるというようなことを言い出しましたが、そもそも国はもっと前に購入しているべきでした。私は、いまの政府ではなく、石原知事というリーダーが率いる東京都が尖閣諸島を購入管理した方がよいと思います。

 というのも、これまで我々が尖閣諸島への上陸許可を要請しても、国は『所有者の同意が得られない』といった理由で上陸を一切認めませんでした。そこに断固とした国の意向が感じられなかったのです。こうした経緯を考えるとき、もし国が尖閣諸島を購入しても、今度は、またぞろ〝中国への配慮〟などの理由を持ち出して上陸を許可しないことが予想されます。

 石原知事なら尖閣に対する考え方が私と殆ど一致していますので、我々の上陸要請を真剣に検討してもらえると考えています。行政の長である知事や石垣市長の合法的な上陸の実現が本当の意味での実効支配のスタートだと思っています。

 ――2011年1月14日に行われた市主催の「尖閣開拓の日」制定記念式典で、招待状を各政党に送ったところ、民主党だけはまったく反応がなかったと聞いています。

 中山 たしかに記念式典へのご案内は各政党に送付しました。何かの手違いかもしれませんが、政府与党である民主党からは出欠の回答はありませんでしたし、誰も会場にお見えになりませんでした。原口一博衆議院議員は式典に出席されましたが、それは超党派の『国家主権と国益を守るために行動する議員連盟』の会長としての参加であり、民主党を代表するものではないと聞いています。式典を欠席された政党からも祝電やメッセージがあり、社民党からも幹事長名でメッセージをいただきました。民主党だけは、何もありませんでした。続きは月刊正論7月号でお読みください

 ■中山義隆氏(なかやま・よしたか) 昭和42(1967)年、沖縄県石垣市生まれ。近畿大学商経学部卒業。野村證券勤務ののち、地元で家業に従事。八重山青年会議所理事長、日本青年会議所沖縄地区会長を歴任。平成18年、石垣市議会議員。22年、石垣市長に初当選。現在1期目。