雑誌正論掲載論文

韓国崩壊寸前 奈落の底に落ちる「非民主韓国」

2019年08月05日 03:00

拓殖大学教授 呉善花 「正論」9月号

 韓国への国際社会における不信感の高まりにはすさまじいものがある。それは何よりも、いっさい国際社会に諮ることなく、単独で核保有独裁国家・北朝鮮への接近を深めていった結果のことだ。挙げ句の果ては国連安保理の対北朝鮮制裁違反(北朝鮮産石炭の搬入など)まで引き起こすといった無法ぶりで、世界の諸国からの信用をすっかり失ってしまった。

 世界的な孤立化を深める文在寅政権だが、次の三つの面での「失敗」は、いずれも政権の「従北思想」がもたらしたものだ。

 一つは「社会主義化の失政」。高校の授業料や昼食を政府で負担するのみならず、制服までも支給しようとしている。公務員や公的企業の職員の大幅増員で、公的機関の人件費負担は増大している。政権にとって都合の悪い情報がネットに書き込まれたら、すぐさまシャットダウンするといった情報統制的な国家体制を築き上げようとしている。

 文政権を支える与党「共に民主党」は、大韓民国憲法にある「自由民主的基本秩序」の文言から「自由」を削除する憲法改正案を議員総会に提出している。これまでの韓国では「自由民主的基本秩序」とは、北朝鮮のような「一党独裁体制」の否定を意味するとしてきた。この憲法改正案には、自由市場経済に反して国家的な経済統制を強化する条項など、国家社会主義的な思想が露骨に示されている。文政権は、南北連合国家の形成へ向けて、韓国をできるかぎり北朝鮮に近い体制へ変えようとしているといえるのではないだろうか。

 二つ目が「経済の失速」だ。世界的な趨勢とは逆に、大企業の法人税率(最高税率)を引き上げた。また、一人当たりの国内総生産が米国のほぼ半分しかないのに、最低賃金を全米最低賃金よりも高い時給八千三百五十ウォン(七・四四ドル、約八百二十円)へと極端に引き上げた。そのため、中小企業の経営が成り立たなくなり、倒産が続出。街には失業者があふれている。多くの若者たちが就職先を求めて日本で働き口を探している有り様だ。

 さらに米中貿易戦争の余波で、甚大な経済的ダメージを被ることが十分考えられる。専門家の間では、一九九七年の通貨危機以上の経済的危機が、韓国で起こり得ると予想する人もいる。

 三つ目が「外交の失策」。今年四月十一日にワシントンで開かれた米韓首脳会談では、両大統領だけの単独会談はたったの二分間だった。トランプ大統領が、文氏と会うのは時間の無駄と考えていたからに違いない。なぜこんなことになったのか。

 トランプ氏が北朝鮮ベッタリの文氏をまったく信用していないからだ。しかも韓国は、そのベッタリの北朝鮮にすっかり舐められている。文大統領が二十カ国・地域首脳会議(G20)に向けて大阪入りする直前の六月二十七日の午前、北朝鮮メディアは北朝鮮外務省米国担当局長の談話をこう報じた。

「朝米対話の当事者は文字どおり我々と米国であり、朝米敵対関係の発生根源から見ても南朝鮮当局が余計な口出しをする問題では全くない」(中央日報日本語版二〇一九年六月二十八日)

 もはや文氏を、北朝鮮と米国の「仲裁者」と見る者は世界に一人もいなくなってしまった。

 頼みの中国でさえ、韓国離れが進むばかりで、韓国観光業の先行きも見通せない状況だ。反日言動の累積で、日本との距離も開くだけ開いてしまった。

 四面楚歌とは、まさにこのことである。ところが、四面楚歌で不遇をかこうどころではない、韓国の存亡にすらかかわる、かつてなかった大危機が発生した。その発信元が日本なのである。

 七月に入って韓国は大揺れに揺れた。六月三十日、日本政府が半導体の製造などに使用される三品目について、七月四日から韓国への輸出管理の運用を見直すと発表したからだ。

続きは「正論」9月号でお読みください。

■ お・そんふぁ 一九五六年生まれ。韓国・済州島出身。大東文化大学卒業後、東京外国語大学大学院地域研究科修士課程修了。韓国時代に四年間の女子軍隊体験がある。大学院時代に発表した『スカートの風』がベストセラーに。拓殖大学国際学部教授。新著『韓国を蝕む儒教の怨念―反日は永久に終わらない』(小学館新書)は八月一日発売。