雑誌正論掲載論文

韓国の狂気、中国の脅威… 日本よ立ち上がれ

2019年04月05日 03:00

カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート×拓殖大学教授 呉善花×評論家 石平 月刊正論5月号

 有元 2月末に行なわれた米朝首脳会談の結果を、どうご覧になっていますか。

 ケント 今回の首脳会談は成功とは言えませんが、失敗でもなかったと思います。かつて2回、米国は北朝鮮にだまされたことがありますが、アメリカ人が今回、一番心配していたのは、トランプさんが同じようにだまされるかも知れないということでした。ですから、首脳会談が終わってからの米国の反応はといえば、ホッとしているという感じでしょうか。変な妥協をしなかった点については、野党・民主党のペロシ下院議長やシューマー上院議員も評価していました。ここ2年間で、2人がトランプさんを褒めたのは初めてじゃないでしょうか。

 北朝鮮に対してはプレッシャーをかけ続けることが大事だと思うんですよ。ここ数日、北のミサイル製造工場がまた動きだしているとの報道があります。これはちょうど、中学2年生の反抗期におけるような行動なのかなと思いますが、あまりやり過ぎると北朝鮮に巡航ミサイルが一発、飛んでくるかも知れませんよ。

 呉 今回の首脳会談のために、金正恩は19世紀でもないのに66時間も掛けて、専用列車ではるばるベトナム入りしました。そしてトランプ大統領と会ったときに金正恩は「今この場面は世界の人々にとって、まるで幻想的な映画を見ているようなものでしょう」という言い方をするわけです。彼はもう映画の主人公になったつもりでいた。金正恩は非核化についての記者の質問に対して「その気持ちでなければこの場に来るはずがなかった」というような表現をしていましたが、彼は世界の人々が注視している前でこれだけ堂々とウソをつけるのですね。

 ケント 明らかなウソですよね。

 呉 でも韓国では、金正恩の話を真に受けて期待してしまう人もいるわけです。韓国のある政治家などは、金正恩が専用列車で中国を縦断してベトナムまで行ったのを見て「私たち韓国が今、夢見ている『東アジア共同体』に向けて、大きな夢を与えられた」と評価していました。

 今回の米朝会談が決裂して、私はすごく良かったと思っていますが、文在寅政権は大変失望しています。彼らは「なんとか北朝鮮を助けなければならない」ということで必死になって開城工業団地や金剛山開発の再開を進めようとしています。韓国はこれほどおかしくなってしまっている。だから日本は絶対に、韓国や北朝鮮に振り回されてはいけないと思います。

 石 米朝会談でトランプ大統領が変な妥協をしなかったのは良かったのですが、アメリカが本気で北朝鮮に対して核の廃絶を迫ったかというと、どうも気迫が感じられませんでした。米国としては、北朝鮮の核がアメリカにさえ届かなければ、後は他人事なのではないか。

 では北朝鮮が本当に核を廃棄する意志があったかといえば、呉善花先生がおっしゃったようにウソですよ。米国の大統領が金正恩と対等な立場で話をする唯一の理由は、北が核を持っているからです。もし金正恩が核を持っていなかったとしたら、トランプ大統領はあんなちっぽけな国を相手にしません。だから、せっかく苦労して開発した虎の子の核を、自分たちの手で捨てるなんてことは絶対にしないでしょう。

 ただし問題は、北朝鮮が核を手放さなくてもアメリカが究極のところで困ることはない。一番困るのは、われわれ日本国です。北朝鮮が仮に核を使うとしても、中国やアメリカに向かって使うことはないはずで、おそらく北朝鮮の核の恫喝に一番さらされやすいのは日本国です。われわれは米国や中国以上に、実は当事者なのです。

 日本国はこの事態にどう対処すべきか。はっきり言って、われわれも核を持たざるを得ないでしょう。日本が核を持てば、北朝鮮の核はわれわれにとっての脅威ではなくなるのです。

 ケント 若干補足させていただきますと、石平さんは絶対に核を持たないとダメだとおっしゃいますが、金正恩の最優先課題は王朝の継続なんですよ。ですから王朝が安定的に継続できるのなら、北朝鮮にとって核兵器は要らないのです。どうすればそのような状況に持っていけるのか、日本のシンクタンクはもう少しそういう創造的なことを考えて提案しないとダメなのですが、ほとんどアメリカ任せになっているように感じます。やはり日本としては、憲法を改正しないとダメでしょう。それをしない限り永遠に北朝鮮になめられます。日本も「普通の国」にならなければ。

 ところで、安倍晋三首相と金正恩が直接、会談したとして、どういう結果になるんでしょうね。

 呉 日本は完全に、やられてしまうと思います。もし今、日朝首脳が会談した場合、日本が真っ先に持ち出すのは拉致問題でしょう。これを言わせないために韓国が一生懸命に画策して「日本人は残虐で野蛮な民族である」と世界中に触れ回っているのです。これは日本が北朝鮮に対して、拉致被害者の問題を持ち出す資格がないのだと言っているのに等しいのです。たかが、わずかな人数を拉致されただけでこんなに大騒ぎする日本はおかしい、ということなんですね。

 今後はさらに、韓国と北朝鮮が一緒になって歴史カードを振りかざしてくることでしょう。日朝が会談すれば必ず、戦後賠償をしろという話が持ち出されてくる。その歴史カードを今、韓国と北朝鮮が一緒になって作っているのです。

 ケント なんでそこで戦後賠償の話が出てくるのですか。日本は朝鮮半島と戦争したの? してないでしょう。戦争賠償なんてありえないよ。

 呉 本当はそうなんです。韓国ではみんな日本と戦争をして、その戦後賠償だと勘違いしているんですが、これははっきり日本人が「そうじゃない」と言わなければなりません。

 石 先ほどケントさんが憲法改正の話をされましたが、私も賛成です。そもそもなぜ、日本人がこれほど大勢拉致されたのか。現在、日本政府は北朝鮮と対話する以外に被害者を取り戻す方法がないのです。相手は「犯罪者」なのに、結局われわれは犯罪者と対話しなければ、場合によっては犯罪者にお金を渡さなければならない。ではどうしてそうなったのかといえば「日本国憲法のおかげさま」でございます。日本国憲法があるからこそ、日本は武力を使ってでも拉致被害者を取り戻すことができない。だからこそ北朝鮮は安心して拉致するのです。むしろ、拉致したことが日本に対する恫喝の材料にもなっている。

 このような憲法体制の下で拉致問題の根本的な解決は無理ですし、今後もまた日本国民が拉致されてしまう恐れもある。現に今、日本国民は中国でも別な形で拉致されている、ということをわれわれは真剣に考えなければなりません。

 拉致問題の背後にあるのは結局、憲法問題。これはケントさんには悪いですが、あなたたちアメリカ人が悪かったんですね。あんなしょうもないものをわれわれに押し付けたのですから。

 ケント それはおわび申し上げます。けれども、アメリカはその後、何回も「改正したらどうですか」と提案しているんですよ。

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■ ケント・ギルバート氏 1952年、米アイダホ州生まれ。来日後、TBS系「世界まるごとHOWマッチ」に出演し、一躍人気に。言論活動も活発で、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』など著書多数。石平氏との共著に『「米中冷戦」で日本は漁夫の利を得る』。

■ 呉善花氏 1956年、韓国・済州島出身。大東文化大学卒業後、東京外国語大学地域研究科修士課程修了。日本に帰化。日本で働く韓国人ホステスを題材とした『スカートの風』はシリーズ化され、『攘夷の韓国 開国の日本』で山本七平賞受賞。櫻井よしこ氏との共著に『赤い韓国』。

■ 石平氏 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒業。88年来日し、神戸大学大学院博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。平成19年、日本国籍を取得した。著書多数。矢板明夫氏との共著に『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた』。