雑誌正論掲載論文

子だくさん対談 ウチの子も保育園は落ちたけど

2017年03月15日 03:00

タレント つるの剛士 × 評論家 潮匡人 月刊正論4月号

 つるの 僕、正論を読んでいるんですよ。3月号に、「ウルトラセブン」でアンヌ隊員を演じられたひし美ゆり子さんが登場されていましたよね(「日本が好き!」)。「ウルトラマンダイナ」の主演を務めさせていただいた僕にとっては大先輩ですが、今もおきれいですね。アンヌ隊員は永遠です。終わりの方の座談会(「メディア裏通信簿」)に、自分の名前が取り上げられていることにも気づいて、ビックリしました。

 潮 最初に、この対談企画をお聞きになって、率直にどのような感想を持たれましたか。

 つるの びっくりです(笑)。スケジュール帳を見たら「正論」と書いてあって、「学者でもない僕が『正論』に出るの? そんなばかな」と思いました。(笑)

 編集者 それでは、対談を始めさせていただきます。お二人は初対面ですね。

 つるの はい。ただ、僕は潮先生の書籍を読ませていただいておりましたし、ニッポン放送の「ザ・ボイス」など先生が出演されているラジオ番組を聞かせていただいておりました。プライベートで「ボイス」のイベントに自分でチケットを買ってお邪魔したこともあります。前のほうで見られたので良かった。誰にも気付かれませんでしたし(笑)。

 潮 つるのさんはテレビなどで「おばかキャラ」と言われて、実際にそのような扱いをされてきたと思うのですが、確かアマチュア将棋の三段をお持ちですよね。本当はとても知的な方で、「おばか」などではないのだと、私は思っています。

 つるの いやいや、とんでもない。三段は一応、持っていますが、弱いですし。

 潮 (笑)私も子供の頃、学校の将棋部にいましたので、アマとはいえ三段のハードルがいかに高いかは分かっております。初めてつるのさんが、アマ三段をお持ちだと知った時は驚きました。いわゆる「おばかキャラ」と「アマ三段」が、私の頭の中で、つながらなかった。でも、すぐに、とても知的な方だと分かりました。

 それがよく分かったのが、安全保障法制をめぐる議論のさなかで起きたツイッター騒動ですね。あのとき、多くの方々が「憲法9条」や「立憲主義」という観点からこの法制に対する批判を強く口にされていましたが、つるのさんはツイッターで「『反対反対』ばかりで『賛成』の意見や声も聞きたいなぁ」と、少し距離を置かれるような投稿をされました。その瞬間、ネット上で「ばか」「死ね」などと攻撃されていましたが、反対論が洪水のように溢れていただけに、異論を述べたつるのさんの存在感は際立っていました。

 つるの でも、あのとき、僕は賛成だとつぶやいたわけではないし、賛否両方を聞きたいと思っただけで、特別なことを発信したつもりはないんですよ。日本を取り巻く状況を見れば、安全保障環境の厳しさは、僕みたいなバカでも分かる。若い子が反対論ばかり聞いているのは良くないな、両方の意見を聞いてほしいな、と。ただ、それだけなんです。あれは美容室で髪の毛を切っている時にツイートしたのですが、帰りのタクシーで反応を見たら多くの批判で炎上していて驚きました(笑)。「中立的な意見を言っただけなのになんで?」と思いましたね。だんだんと論点がずれていくし…。

 ただ、あれで「世の中ってこういうことなんだな。ちゃんと勉強しなければいけないな」と思った。そういう意味では有意義でした。

 潮 当時は、反対派が「安保法制が成立したら徴兵制になる」という脈絡で語っていたわけですが、徴兵制はいまだ気配すら見えません。つるのさんと反対派の方々のどちらが冷静だったのかは答えが出ていると思います。

 潮 ツイッターでは、もう一つの山が最近ありましたね。流行語大賞に「保育園落ちた日本死ね」が選ばれたことの是非を、つるのさんがツイッターで問題提起したら、同じように大きな話題となりました。

 つるのさんは「なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました。きっともっと選ばれるべき言葉や、神ってる流行あったよね。。 皆さんは如何ですか?」「少なくともウチの子供が『◯ね』なんて言葉を吐いたらスペシウム光線でブッ飛ばしますし、親として反省することは間違いないです」と発信しておられましたね。

 つるの 「死ね」という言葉に対する違和感があったんです。実は寝る前につぶやこうと思ったのですが、その時は「いや、ちょっと待てよ。これは炎上するかもしれない」と防衛本能が働きました(笑)。そして「一晩考えて冷静になろう」「感情的につぶやいてはいけない」と自制したんですが、翌朝になっても違和感は変わりませんでした。「やはり『死ね』はいかん」と感じて、フォロワーの皆さまに「どう思いますか?」と投げ掛けたのです。

 潮 一つの疑問の提示ですよね。

 つるの 「日本死ね」という言葉はそもそも流行していないと思ったし、素朴に「そのような言葉を子供に教えられますか?」と思ったんですね。また、あの言葉を使った国会議員が笑顔で授賞式に参加したことにも、違和感を覚えたんです。この時の反応は、ほとんどの方々が僕と同じような意見でした。

 ただ、もちろん、厳しい批判もいただきましたし、最近はツイッターをめぐる騒動はほかにも色々とあります。本当に気をつけていかなければいけないとは思っていますが、ただ、ツイッターのように自分の意見を広く発信できる手段ができたことは前向きにとらえています。テレビや新聞などの報道を鵜呑みにすることしかできなかった普通の人たちが、それに対して意見を言えるようになった時代の到来は歓迎すべきだと思っています。

 潮 芸能界は人気稼業で、「皆が反対しているならば俺も反対しておこう」と考えるのが普通です。そういうところで、きちんと意見を述べるつるのさんは、やはり違う、と私は思いますよ。

 つるの ただ、あのツイートも、授賞式を見ていた一視聴者としての感想で、授賞に抗議しようとか、そんなつもりは全然ありませんでした。他の人たちが、どんなふうに感じるかは自由ですし、だから、ご批判を受けて、「すいません」とツイートしました。もちろん、個人的には間違ったことを言ったつもりはないです。あくまで一視聴者としての考えですから…。

 潮 つるの家でも保育園に落ちた経験があると聞きました。

 つるの 長男のときに何度か落とされたりしていますので、身をもって保育園の待機児童問題の深刻さは感じていました。あのことで、僕に対して「勉強していない」とか、「世の中のお母さんの気持ちが分かっていない」とか、批判もされましたが、「勉強していない」はその通りだとしても、「気持ちが分かっていない」といわれると、ちょっと…。実際、5人の子供を育てていますし。

 潮 私も3人の子供がいますから、お気持ちは分かりますよ。子供一人でも大変なのに、つるのさんは5人。保育園を頼れない厳しさを本当に実感されていると思います。

 つるの 潮先生も3人のお子さまをお持ちなんですか。

 潮 長男はIT企業勤務、次男は新人警察官、一番下の長女は防衛大学校生です。

 つるの 皆さんご立派で。

 潮 3人とも給料をもらっていますので、ようやく子育てと教育費の重圧から解放されました(笑)。

 つるの いいなあ(笑)。

 潮 つるのさんは、まだまだ大変でしょう。

 つるの 我が家は中学校1年生の長男、小学校5年生の長女、3年生の次女、1年生の三女。そして去年の6月に次男が誕生したばかりですからね。僕自身が4人兄妹で育ったものですから、昔から子だくさんの家庭に憧れていました。「子供の数で親を1人超えよう」を目指して頑張ってきましたので、ようやく夢が叶いました。

 潮 お子さんのお名前は「あ、い、う、え、お」で始まるそうですね。

 つるの そうです。ただ、さすがに「か行」には踏み込みませんよ(笑)。

 潮 ご結婚してから何年経ちますか?

 つるの 14年目です。

 潮 結婚式はされましたか?

 つるの 教会でしました。神様の前で誓った時、「もう絶対に悪いことはできないわ」と思いましたね。それが宗教観なのかどうかは分かりませんが…。僕は昔から天国や地獄はもちろん、閻魔大王様だっていると信じてきました。

 潮 結婚生活が一定の年限を超えて続いている。なおかつ、お子さんが5人もいる。芸能界は離婚話や浮気話が珍しくないという印象があるのですが、つるのさんは家庭をきちんと維持されていますね。

 つるの それは両親の影響が大きいです。夫婦仲がとても良くて、僕は小さい頃から結婚生活に漠然と憧れていました。

続きは正論4月号でお読みください

■ つるの剛士氏 昭和50(1975)年生まれ。歌手・俳優。フジテレビ人気番組の出演者で結成したユニット「羞恥心」のリーダーとして活躍。5人の子を持つ「芸能界のイクメン」の代表格でもある。「つるのうた名曲集日本全国翔鶴ツアー」が4月30日、奈良県よりスタート。

■ 潮匡人氏 昭和35(1960)年生まれ。早稲田大法学部卒。旧防衛庁・航空自衛隊に入隊。長官官房などを経て、3等空佐で退官。帝京大准教授、拓殖大学日本文化研究所客員教授など歴任。「日本の政治報道はなぜ『嘘八百』なのか」(PHP新書)など著書多数。